予定納税額の減額申請には、「第1期分と第2期分」と「第2期分のみ」の減額方法があります。今回は「第1期分と第2期分」の減額方法をメインに話を進めていきます。
具体的にこの記事でわかるのは以下のとおりで、主に業績不振を理由とした「予定納税額の減額申請書」の書き方ついて知りたい方に向けた記事になります。
この記事でわかること
- 減額申請する前に準備すること
- 予定納税の減額申請書の書き方
- 申告納税見積額等の計算書の税額計算
税務会計の経験が20年以上ある筆者が経営コンサルタントの視点で、「所得税の予定納税の減額申請書」の作成にまつわる知識をまとめて解説していきます。
個人事業主として「開業したばかりの方」や「初めて手続きする方」でもわかるように優しい解説を心がけています。
気になる方はぜひに最後まで読んでほしい。
きっと新しい発見があります。
減額申請する前に準備すること
減額条件の確認
予定納税額を減額申請するためには、減額条件を満たす必要があります。
減額条件には主に5つの条件があり、その条件のいずれかに該当すれば減額申請ができます。減額申請の可否判定に必要になるので、必ず条件を確認しておきましょう。
なお、この記事では「業績不振による条件」をメインに話を進めていきます。
損益計算書の作成
予定納税額を減額申請するためには、損益計算書が必要になります。
具体的には、上半期(1月1日から6月30日まで)の損益計算書を作成して、減額申請書の添付書類として提出が求められます。
なお、損益計算書は、1年間の収入や所得を見積るために使用します。
所得金額の見積り
減額申請書の作成には、今年1年間の収入や所得の見積りが必要になります。
今年1年間の収入や所得は、上半期の損益計算書を基準にして下半期の金額を予測して見積ります。見積りが難しい場合は上半期の金額を単純に2倍にした見積りでもかまいません。
あくまでも予想ですので、収入や所得の見積りに誤りがあっても問題ないのです。
「所得税の予定納税額の減額申請書」の書き方
減額申請書の記入例
以下の記入例を参考にして、所得税の予定納税額の減額申請書を作成してみよう。
国税庁ホームページから「所得税の予定納税額の減額申請書」を入手する
減額申請金額
減額申請金額の記入ポイントは以下のとおりになります。
ポイント
項目欄 | 内容 |
---|---|
通知を受けた金額 | 税務署から届く「所得税の予定納税額の通知書」の金額を記入 |
申請金額 | この申請書の「申告納税見積額等の計算書」で算定した金額を記入 |
先に申告納税見積額等の計算書の欄を算定してから、申請金額を記入するようにしましょう。
減額申請の理由
減額申請の理由の記入ポイントは以下のとおりになります。
ポイント
項目欄 | 内容 |
---|---|
減額申請の理由 | 該当する理由に〇で囲む |
減額申請の具体的理由 | 減額申請に至った具体的な理由を記入 |
記入例は、飲食業を例として「業績不振」を理由にした参考文になります。実際に記入するときは、ご自身の事業の実情に合わせてた理由を記入してください。
添付書類
添付書類の記入ポイントは以下のとおりになります。
ポイント
項目欄 | 内容 |
---|---|
添付書類の名称 | 損益計算書と記入 |
減額申請書と一緒に損益計算書も添付して提出します。損益計算書は、進行年度の「1月1日から6月30日まで」のものを添付しましょう。
なお、freeeなどの会計ソフトを使っている方は、残高試算表(損益計算書)を印刷して添付すれば問題ありません。
申告納税見積額等の計算書
申告納税見積額等の計算書の記入ポイントは以下のとおりになります。
ポイント
項目欄 | 内容 |
---|---|
令和〇年の所得金額の見積額 | 今年1年間の見込み所得金額を記入 |
所得から差し引かれる金額 | 前期の確定申告書を参考にして記入 |
課税される所得金額 | ⑧から㉒を差し引いた金額(1,000円未満は切り捨て) |
税額 | 確定申告書作成コーナーで税額を計算 |
申告納税見込額 | ㊲と㊳を足した金額(100円未満は切り捨て) |
予定納税額 | 申告納税見込額の3分1を第1期と第2期に記入 |
税額の発生がなく0円になる場合は、㉞㊲㊴は0円と記入し予定納税額も発生しないので0円になります。
「申告納税見積額等の計算書」の税額計算
確定申告書等作成コーナーとは?
確定申告書等作成コーナーとは、ウェブ上で確定申告書が作成できる国税庁のサイトです。
今回の減額申請書では、税額を計算しなくてはなりません。確定申告書等作成コーナーを便宜的に使って確定申告書を作成すれば、自ら計算することなく税額を算定できます。
税額が算定できたら、申告納税見積額等の計算書に記入して減額申請書を完成させよう。
確定申告書等作成コーナーの手順
確定申告書等作成コーナーを使うための開始手順を簡単に解説します。
開始手順
手順 | 内容 |
---|---|
① 確定申告書等作成コーナーに行く | こちらからホームページに移動 |
②「作成開始」をクリック | 別画面が開く |
③「印刷して提出」をクリック | 利用規約に同意して次へ |
④「令和〇年分の申告書等を作成」をクリック | 過去ではなく直近の年度分を選択 |
⑤「所得税」をクリック | スライド画面から選択 |
⑥ 確定申告書の作成を開始する | 必要事項の入力と選択して進める |
確定申告書の作成を開始したら、上半期の損益計算書を基準に見積もった今年1年間の収入や所得の見積額を入力しよう。
また、控除項目は、前年の確定申告者を参考にして入力しましょう。
「所得税の予定納税額の減額申請書」の手続き
減額申請書の申請期間
予定納税額の減額申請書の提出には、次のとおりに申請期間が定められています。
申請期間
申請内容 | 申請期間 |
---|---|
第1・2期分の減額申請 | 7月1日から7月15日まで |
第2期分のみの減額申請 | 11月1日から11月15日まで |
申請期間が短いので早めに準備しておきましょう。
減額申請書の提出方法
予定納税額の減額申請書の提出先は所轄税務署で、提出には主に2つの方法があります。
提出方法
提出方法 | 提出する書類 |
---|---|
窓口による提出 | 減額申請書の原本と控え、添付書類(損益計算書) |
郵送による提出 | 減額申請書の原本と控え、添付書類(損益計算書)、返信用封筒 |
減額申請書は、記入済みの「原本」をコピーして「控え」を作成してください。
郵送により提出する方は、返信用封筒に必ず返信先の記入と切手を貼ることを忘れないようにしましょう。
まとめ
減額申請の前に準備すること
事前に減額条件を参照のうえ申請できるか可否判定をしよう。また、減額申請書には損益計算書の添付が必須。上半期の損益計算書を基準に今年1年間の収入や所得を見積りましょう。
予定納税減額申請書の書き方
減額申請書の書き方は、記入例を見てもらえればイメージしやすいと思います。減額申請書の各項目については、記入ポイントを参考にしてミスなく完成させよう。
申告納税見積額等の計算書の税額計算
申告納税見積額等の計算書では、税額の計算が必要となります。国税庁が運営する確定申告書等作成コーナーを利用して税額を計算しよう。
添付書類の「損益計算書」について
会計ソフトを導入している方は、残高試算表(損益計算書)を印刷して添付すれば問題ありません。
まだ、会計ソフトを導入していない方は、freeeが提供するクラウド会計が便利なのでオススメしています。
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