減価償却方法の原則では、耐用年数による減価償却方法を使います。
具体的な減価償却方法には、「定額法」と「定率法」の2種類があります。この2種類の中からどちらか一方を採用して、減価償却の計算を行なうのが原則になるのです。
今回、この記事でわかることは以下のとおりで、定額法と定率法にまつわる基本を知りたい方に向けた記事になります。
この記事でわかること
- 減価償却のメカニズム
- 定額法と定率法の違い
- 会計処理と税務手続き
税務会計の経験が20年以上ある筆者が経営コンサルタントの視点で、減価償却方法の原則について解説してきます。
個人事業主として「これから開業する方」や「開業したばかりの方」でもわかるように優しい解説を心がけています。
気になる方はぜひに最後まで読んでほしい。
きっと新しい発見があります。
減価償却とは何だろう?
減価償却のメカニズム
減価償却方法の原則
法定耐用年数に基づいて計算するのが減価償却方法の原則です。
具体的には、取得価格10万円以上の固定資産が対象となり、法令で定められた法定耐用年数に基づいて減価償却費を計算します。
なお、法定耐用年数は、固定資産の種類ごとに年数が細かく決まっています。
減価償却方法の例外
法定耐用年数に基づかない減価償却方法の例外もあります。
具体的には、3年間で均等償却する一括減価償却資産や、購入年度で全額即時償却する少額減価償却資産が該当。それぞれの適用条件を満たすことで使うことができます。
なお、減価償却方法の例外については、以下の記事を詳しく解説しています。
減価償却費の計算方法
固定資産の耐用年数
減価償却の計算には、固定資産の耐用年数を使います。
固定資産は、時間の経過によって物理的に損耗します。その損耗による価値の減少を期間で表したのが耐用年数です。実際の計算で耐用年数は、償却率に換算してから使います。
このように減価償却の計算では、償却率をもちいて計算するので覚えておこう。
減価償却の計算方法
減価償却の計算方法には、定額法と定率法の2種類があります。
定額法は毎年同じ額を減価償却するのに対し、定率法は最初のうちは減価償却の額が多く、だんだん少なくなる特徴があります。
定額法と定率法の具体的な違いについては、次の章で詳しく解説します。
定額法と定率用の具体的な特徴
定額法による減価償却方法
定額法は取得価格で計算
定額法を使った減価償却の計算は次のように行います。
取得価格×償却率×使用月数÷12ヶ月=減価償却費
例えば、期首に新車を300万円で購入した場合なら、1年目50万円、2年目50万円、3年目50万円といった具合に、耐用年数6年(償却率:0.167)に渡って同じ金額が減価償却費になります。
月数按分が必要になるとき
上記例題の新車が期首ではなく4月に購入の場合は、使用期間に応じて月数按分が必要です。
新車300万円×償却率0.167×9ヶ月÷12ヶ月=375,750円
計算式の中の「9ヶ月÷12ヶ月」が月数按分を表しています。このように、固定資産を期中に購入したときは、減価償却費は月数按分が必要になるので覚えておこう。
定額法の減価償却が原則法
個人事業主の減価償却は、何も手続きしない限り定額法が原則法として採用されます。
定額法は、法令で定められた法定償却方法になるので、固定資産の減価償却は強制的に定額法での計算が求められます。
なお、税務手続によって定率法を採用することも許されています。
定率法による減価償却方法
定率法は残存価格で計算
定率法を使った減価償却の計算は次のように行います。
残存価格×償却率×使用月数÷12ヶ月=減価償却費
例えば、期首に新車を300万円で購入した場合なら、1年目99.9万円、2年目66.6万円、3年目44.4万円といった具合に、耐用年数6年(償却率:0.333)に渡って徐々に減価償却費が少なくなります。
定率法の残存価格とは?
残存価格とは、取得価格から減価償却費を差し引いた価格のこと言います。
初年度だけ取得価格を使って減価償却費を計算します。2年目以降は残存価格を使って減価償却費を計算するので、残存価格は毎年減少していき、最終的に残存価格は1円になります。
このように減価償却費が徐々に少なくなるのは、残存価格が毎年減少するためなのです。
定率法は節税対策に有利
定率法は、定額法よりも節税対策が有利に働きます。
固定資産は一度に全額を経費化できないので、最終利益の増加現象に陥ります。定率法は初年度に多くの減価償却費が計上できる仕組みなので、定額法よりも最終利益の上昇を抑えます。
このように、定額法よりも定率法を使った方が、最終的に納める税金を安くできるのです。
減価償却の会計処理と税務手続
定額法と定率法の計算は会計ソフトで!
難しい減価償却費の計算は、会計ソフトを使って行います。
具体的には会計ソフトの固定資産台帳に、取得価格、償却方法、耐用年数などの情報を登録するだけで、減価償却費の自動計算が可能。会計ソフトによっては帳簿入力も自動化できます。
なお、会計ソフトの中では、簿記を知らなくても操作できるfreee会計がおすすめです。
定率法を採用するときは税務手続が必要
定額法による償却方法を採用するときは税務手続が必要になります。
具体的には、税務署に「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」を提出することで、定率法が採用できます。税務手続しない場合は定額法が採用されます。
減価償却資産の償却方法の届出については、以下の記事で詳しく解説しています。
定額法と定率法の計算方法のまとめ
減価償却のメカニズム
取得価格10万円以上の固定資産が対象で、法定耐用年数に基づいて減価償却費を計算します。なお、法定耐用年数は償却率に換算してから減価償却費の計算を行います。
定額法と定率法の違い
定額法は毎年同じ額を減価償却するのに対し、定率法は最初のうちは減価償却の額が多く、だんだん少なくなる特徴があります。なお、定率法は定額法より節税対策に有利です。
会計処理と税務手続き
定額法や定率法の減価償却は会計ソフトを使って計算します。freeeが提供する会計ソフトを使うと、減価償却費の計算から帳簿入力まで自動で会計処理が実行できます。
定率法を採用するときは、税務署に減価償却資産の償却方法の届出が必要となります。
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