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妻の給与の決め方|役員給与の活用と家族経営で所得分散する経理戦略

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家族給与を活用した節税対策はないかしら?
奥さんに役員給与を出して所得分散するといいよ!
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会社から妻に給与を出して節税対策したいと考える社長はたくさんいると思う。

実際に妻の役員給与は節税対策や所得分散によく使われる古典的なスキームです。

この記事でわかること

  • 会社が妻に給与を支給する目的
  • 妻を会社役員にする理由と手続き
  • 妻に支給する役員給与の決め方
  • 役員給与の税務と社会保険のルール

古典的なスキームと言われてもピンっと来ない人も多いだろう。

そのような疑問を持つあなたのために、今回は「妻の給与スキーム」にまつわる必要な知識をまとめました。

気になる方はぜひに最後まで読んでほしい。

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会社が妻に給与を支給する目的

法人税や所得税の節税対策のため

新たに妻の給与を支給すれば法人税の節税対策になり、社長給与の一部を妻の給与に所得分散すれば所得税の節税対策となります。

所得税の節税シュミレーション

項目所得分散なし所得分散あり
給与(年収)社長:1,200万円社長:600万円妻:600万円計:1,200万円
所得税(年額)社長:156.1万円社長:35.5万円妻:35.5万円計:71.0万円

上記表は「社長の給与年収1,200万円」から「妻の給与年収600万円」に所得分散するシュミレーションです。

所得分散なしと所得分散ありを所得税年額で比べると85.1万円も節税効果があります。

社長ひとりで給与をもらうよりも、妻に所得分散した方が節税効果が高い。

所得分散して固有財産を残すため

妻の給与は本人の固有財産となり、財産を貯めることで生活基盤を守ることにつながります。

具体的には...

  • 法人や社長(夫)が破産したときに、妻の財産で生活基盤を維持できる
  • 夫が亡くなったときに妻の固有財産は相続対象外なので相続対策できる

会社や社長自身が破産しても、妻が保証人でない限り妻の固有財産を差し押さえられない。今まで払った妻の給与が貯蓄として残っていれば、破産後も生活基盤を維持できます。

社長が亡くなったときも、今まで払った妻の給与は固有財産なので相続の対象外になります。

給与の所得分散は生活基盤を守るためのリスクヘッジにつながる。

妻を会社の役員にする給与スキーム

妻を会社役員にする理由

妻を会社役員にする理由は給与算定基準が有利な場合が多いからだ。従業員と会社役員の給与算定基準は以下のとおりになります。

給与算定基準の比較

対象者基準内容
従業員労働条件と勤務実績
会社役員会社への業績貢献度

具体的な例題を参考に従業員と会社役員の給与算定基準を比較して考えてみよう。

例題

労働条件と勤務実績が同じ「妻Aさん」と「従業員Bさん」がいます。 妻Aさんの月給は60万円で、従業員Bさんの月給は20万円。それぞれの給与算定基準で妻Aさんの給与を考えたらどうなるか?

妻Aさんが従業員ならば問題あり。

労働条件や勤務実績が同じならば、社員Bさんと同じ給与でないとおかしい。給与格差が3倍もあるので税務調査で指導を受けるでしょう。

妻Aさんが会社役員ならば問題なし。

会社役員は会社への業績貢献度が給与算定基準になる。社員Bさんと3倍の給与格差があっても、給与算定基準がそもそも違うので問題になりません。

妻を会社役員にすることで、従業員給与と比べて給与幅を持たせることができる。

会社役員にするための手続き

妻を会社役員にするためには、法務局に役員就任の登記申請書の提出が必要です。具体的な提出書類を次のとおりになります。

法務局への提出書類

種類提出書類
株式会社の役員就任株式会社変更登記申請書、別紙CD-R、臨時株主総会議事録、株主リスト、就任承諾書、印鑑証明書(就任者)、委任状(代理人申請)など
合同会社の役員就任合同会社変更登記申請書、別紙CD-R、同意書、委任状(代理人申請)など

上記の提出書類は一般的なものです。

自分で登記書類を作成するときは、法務局HPの記載例を参考に会社の実情に合わせて、提出書類の追加又は削除してください。

役員の勤務形態と妻の役員給与の決め方

会社役員の勤務形態の種類

会社役員の勤務形態には2つの種類があり、勤務形態により役員給与の決め方も異なります。

会社役員の勤務形態の種類

勤務形態内容
常勤役員〇〇担当役員など会社業務に専任して従事する役員
非常勤役員不定期に会社相談に乗ったり簡単な仕事を手伝ったりする役員

常勤と非常勤の簡単な判断方法は「会社稼働日にいつも出社してるかどうか」で判断できる。

非常勤役員はスポットで活躍する役員なので出社は不定期になる。常勤役員と比べて出社日数が少ないので、役員給与も低くなる傾向があります。

常勤役員に対する役員給与の決め方

1.会社の年間利益計画から役員報酬総額を決めよう

会社の年間利益計画を立て利益計画案から役員報酬総額・・を算定する。具体的には前年実績を考慮して年間利益計画を立てるのが一般的でしょう。

まずは年間利益計画案から役員報酬総額を算定して、次に役員の業績貢献度に応じて各役員の給与を決定していく流れになります。

利益計画案で役員報酬総額を算定してから、妻の役員給与の取り分を決めること

2.妻の役員給与は社長給与よりも低い金額に決めよう

妻の役員給与は社長給与よりも低い金額に設定する。なぜ、社長給与を超えて妻の役員給与を支給してはならないのか?

具体的には...

会社の倒産リスクを考えるとわかりやすい。

  • 会社が倒産したら債務に対する責任は全て社長が負う
  • 個人の連帯保証により社長の財産は全て差押えられる
  • 妻は保証人でない限り会社債務に責任を負うことはない

実際の融資取引では一般的に社長個人が保証人になる。会社の倒産時は「社長個人にも債務の返済義務が及ぶ」ので、社長の職責は大変に重いものになります。

社長の職責を考えると、妻の役員給与が社長よりも低くなるのは当然なのです。

社長給与よりも低い金額で妻の役員給与を決めること

3.社長と妻の役員給与は業績貢献度の割合で決めよう

家族給与は社長給与に対して6割から8割程度になるが一般的な指標です。その指標を参考に業績貢献度で社長と妻の給与割合を決めよう。

参考例題

当期の年間利益計画を立て、役員報酬総額が1,200万円になると算定した。当会社の役員は社長と妻のみであり、業績貢献度の割合は「社長60:妻40」と決まった。社長と妻の役員給与はそれぞれいくらになるか?

役員報酬総額1,200万円を業績貢献度「社長60:妻40」で割り振ると、社長が年収720万円妻が年収480万円になる。

一般的な指標を計算すると「妻の年収480万円÷社長年収720万円×100=約66%」になる。

社長給与に対して妻の給与は6割強なので、一般的な指標から見ても妥当な給与だと判断できます。

業績貢献度と一般的な指標で妻の役員給与を決めること

非常勤役員に対する役員給与の決め方

1.所得税や住民税の非課税上限の範囲内で決めよう

妻が非常勤役員になるときはスポットで活躍する場合が多いので、一般的に所得税や住民税が発生しない非課税上限で妻の役員給与を決めます。

所得税と住民税の非課税上限は...

  • 所得税 ⇒ 年間の役員給与103万円まで(令和3年現在)
  • 住民税 ⇒ 年間の役員給与100万円まで(令和3年現在)

所得税の非課税上限で妻の役員給与を決めてしまうと住民税が発生します。

実際に妻の役員給与を決めるときは「住民税の非課税上限の範囲内」で給与金額を設定しよう。

配偶者控除を受けるために「妻の役員給与を100万円以下」にするのが一般的です。

2.社会保険の扶養上限の範囲内で決めよう

妻の役員給与は社会保険の扶養上限で金額を定めることも大切です。

具体的には...

常勤役員は社会保険が強制加入になるので、非常勤役員だけ受けれる恩恵になります。

社会保険の扶養を受けるためには、妻の役員給与を130万円未満にする必要があります。

妻が社長の扶養家族になりたい場合は「妻の役員給与を130万円未満」になるように決めよう。

住民税の非課税上限で妻の給与を決めたときは、必然的に社会保険の扶養になる。

3.総合的な判断で妻の役員給与の決めよう

最終的には税金や社会保険料が控除されないように妻の給与を設定する会社がほとんどだ。

具体的には...

妻の役員給与を「月収8万円(年収96万円)」に設定することが多い。

給与月収8万円であれば所得税の源泉徴収は不要であり、給与年収も96万円なので住民税や社会保険料も発生しません。

税務署から過大給与だと指摘を受けないためにも「住民税の非課税上限の範囲内」に妻の給与を抑えている会社がほとんどです。

非常勤役員はスポットで活動するので税務調査で給与金額の指摘を受けやすい。

役員給与の税法と社会保険のルール

役員給与の税法上のルール

1.定期同額給与

役員報酬の税法では「定期同額給与」というルールが定められている。

定期同額給与のルール

  • 役員給与の決定は株主総会や取締役会で決める
  • 役員給与の決定内容は議事録に残して保管する
  • 役員給与の変更は決算後3ヶ月以内の年1回だけ

合同会社の場合は総社員の同意の元に役員給与を決定して、同意書又は決定書を残して保管しましょう。

役員給与の変更も「決算後3ヶ月以内の年1回」になるので気をつけましょう。

正当な理由なく会計年度の途中で変更した役員給与は経費化できない。

2.源泉所得税の徴収義務

所得税の税法では「源泉徴収義務」というルールが定められている。

源泉徴収義務の内容

  • 給与支給時に源泉所得税が発生したら徴収し会社が代わって納付する。
  • 原則、給与支給日の翌月10日までに所得税を納付しなければならない。
  • 源泉所得税の納期特例の承認を受ければ納期限を年2回に減らせる。

役員給与から源泉所得税を徴収したときは、原則、決められた納期限までに納めなければならない。

源泉所得税の納期限を年2回にするためには「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」の提出が必要になります。

こちらの記事も参考に!

役員給与の社会保険上のルール

妻が会社役員になって社会保険加入の要件を満たしたら手続きが必要になります。

社会保険の加入要件

  • 妻が会社の常勤役員になったとき(強制加入)
  • 妻の役員給与の年収が130万円以上になったとき

妻が非常勤役員であっても、妻の年収が130万円以上なると社会保険の加入義務が生じます。

加入要件を満たしてから5日以内に「社会保険の資格取得届」を提出しなければなりません。

こちらの記事も参考に!

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所得分散による「妻の役員給与の決め方」のまとめ

妻の役員給与スキームは、社長給与を妻に所得分散するところにある。

法人税や所得税の節税対策や妻の固有財産を残すことが目的になります。

給与には算定基準があり従業員と会社役員とでは算定基準が異なる。

妻の役員給与スキームでは、労働条件や勤務実績に左右されないために妻を会社役員に就任させます。

妻の役員給与は役員の勤務形態により給与金額を決めることになる。

常勤役員は年間利益計画から役員報酬総額を算定して、役員の業績貢献度により給与金額を決定する。逆に非常勤役員は所得税や住民税の非課税上限、社会保険の扶養上限を加味して役員の給与金額を決めます。

役員給与には税務と社会保険のルールがある。

定期同額給与と源泉徴収義務があり、それぞれ順守しなければならない。また、非常勤役員であっても年収130万円を超えたら社会保険の扶養には入れないので手続きが必要になります。

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  • この記事を書いた人

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中小企業者向けの経営コンサルティングに従事。経理、税務、法務、労務などのバックオフィス歴は20年以上。経営コンサルタントの視点でビジネスに役立つ生きた情報を配信。新しい発見をモットーにブログを更新していきます。