法人税の還付|欠損金の繰戻し還付請求を利用した資金調達の経理戦略

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今期は赤字で資金繰りが厳しいわ!何か税務上の手立てはない?
法人税の還付制度を利用すれば資金調達できるよ!
Tetsu

急激な環境の変化により想定外の損失を被り、資金繰りが立ちいかなくなることも多い。

困っている経営者のために税務上には救済策が用意されている。

それは「欠損金の繰戻しによる還付」と呼ばれ、前期に納めた法人税が還付される制度だ。

今回、この記事でわかることは…

  • 法人税還付のメリットとデメリット
  • 法人税還付を受けるための必須要件
  • 法人税還付請求後に気をつける対策

以上のとおり「法人税の還付制度」にまつわる必要な知識をまとめた。

ひとつでも気になれば、ぜひに最後まで読んでほしい。

きっと新しい発見があります。

法人税の還付制度の利用

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欠損金の繰戻還付制度はどのようなときに使えるの?
繰戻還付の目的とメリット・デメリットをまとめるね!
Tetsu

欠損金の繰戻還付の目的

欠損金の繰戻還付は前期の黒字と当期の赤字を相殺して、前期に納めた法人税を返してもらうことが目的だ。

具体的には…

法人税還付金の計算方法に基づき計算して、前期法人税の一部又は全部を返してもらう。

実際に還付を受けるためには「欠損金の繰戻しによる還付請求書」の提出が必要となる。

簡単な用語説明「欠損金とは?」

欠損金とは、法人税を課税すべき所得金額が赤字の状態であること。

欠損金の繰戻還付は「前期に法人税を納めていない」と利用できない。

 

欠損金の繰戻還付のメリット

欠損金の繰戻還付には主に2つのメリットがある。

メリット1「法人税還付による現金化」

欠損金の繰戻還付と繰越控除の結果を比較するとメリットがわかりやすい。

制度前期決算当期決算結果
欠損金の繰戻還付黒字赤字法人税の現金還付を受ける
欠損金の繰越控除赤字を翌期に繰り越すのみ

繰越控除は赤字を繰り越すのみだが、繰戻還付は現金を受け取れる。

結果として…

繰戻還付のメリットは、実際に手元現金が増えるので資金繰りが助かるところだ。

資金繰りが苦しいときは手元現金が増える繰戻還付を活用しよう。

 

メリット2「繰越赤字の未消化防止」

欠損金の繰戻還付と繰越控除のしくみを比較するとメリットがわかりやすい。

制度前期決算「黒字」当期決算「赤字」翌期決算「赤字」
欠損金の繰戻還付法人税の納税還付金を受け取る繰越控除を適用
欠損金の繰越控除法人税の納税赤字を繰り越す赤字を繰り越す

繰越控除は翌期以降に黒字が発生しないと赤字と相殺できない。

結果として…

欠損金の繰越控除は10年経つと赤字が消えてしまう。

上記表のどおりに繰戻還付は「当期に還付金」を受けられるので「繰越赤字の未消化」を減らせるメリットがある。

来期以降も赤字になる予測であれば、繰戻還付で赤字を精算した方が有利になる。

 

欠損金の繰戻還付のデメリット

欠損金の繰戻還付には2つのデメリットがある。

デメリット1「地方税は還付できない」

欠損金の繰戻還付は国税のみに利用できる制度なので地方税は還付できない。

具体的には…

法人税のみ還付を受けることができる。

地方自治体に納付した法人住民税や法人事業税などの還付は受けられない。

地方税の還付は受けれないが、決算で黒字になったときに欠損金の繰越控除を使って後から地方税を減税できる。

 

デメリット2「税務調査の実施」

欠損金の繰戻還付請求すると税務調査が実施される。

具体的には…

法人税法により「繰戻還付は調査してから還付する」と定めがある。

税務調査リスクがあるため、欠損金の繰戻還付請求を躊躇する人も多い。

欠損金の繰戻還付請求は、後述する税務調査の内容を確認してから判断してほしい。

 

こちらの記事も参考に

税金の納付が困難!納税猶予制度を利用して資金繰り対策する経理戦略

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法人税の還付制度のしくみ

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法人税の還付制度のしくみを教えて!
繰戻還付制度の必須要件と計算方法をまとめるね!
Tetsu

欠損金の繰戻還付制度の要件

欠損金の繰戻還付制度には「法人要件」と「制度要件」の2つがある。

欠損金の繰戻還付「法人要件」

欠損金の繰戻還付請求できるのは中小事業者に限られる。

具体的には…

普通法人(資本金又は出資金が1億円以下)

公益法人等又は協同組合等

許可緑地団体など法人税法以外の法律で公益法人等とみなされる法人

人格のない社団

ただし、以下に該当する法人は該当しない。

  • 相互会社及び外国相互会社
  • 大法人と完全支配関係がある普通法人
  • 100%グループ内の複数大法人に発行済株式又は出資の全部を保有される法人
  • 投資法人、特定目的会社、受託法人

新型コロナ税特法で特例として適用範囲が拡大された。

詳しくはコチラから

 

欠損金の繰戻還付「制度要件」

欠損金の繰戻還付請求するためには3つの制度要件を全て満たす必要がある。

具体的には…

前期から当期まで連続して青色申告していること

当期の確定申告書を期限内に提出すること

欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること

欠損金の繰戻還付制度を利用できるのは青色申告者だけなので気をつけたい。

 

こちらの記事も参考に

法人が青色申告するには?青色申告の承認申請書の書き方を詳しく解説

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欠損金の繰戻還付金の計算方法

欠損金の繰戻還付金の計算式と参考例題で還付金の計算方法を解説する。

欠損金の繰戻還付金の「計算式」

欠損金の繰戻還付金は以下の計算式で求めることができる。

計算式は…

当期の欠損金額の上限は、前期の所得金額までとなる。

当期欠損金額が前期所得金額を超えた場合は、その超えた部分は繰越欠損金として翌期に繰り越される。

 

欠損金の繰戻還付金の「参考例題」

実際に参考例題で欠損金の繰戻還付金を計算してみよう。

参考例題

決算で欠損金が発生したので欠損金の繰戻しによる還付請求する。以下の条件で当期の還付金はいくらになるか?

  • 前期所得金額:800万円
  • 前期法人税額:120万円
  • 当期欠損金額:1,000万円

解説と回答は次のとおり。

当期欠損金1,000万円は前期所得金額800万円を超えるので超過額200万円は翌期に繰り越す。したがって、以下のとおりに当期欠損金額は800万円で計算する。

前期法人税額120万円 × 当期欠損金額800万円 ÷ 前期所得金額800万円 = 還付金額120万円

前期に納税した法人税の全額120万円が還付される。

 

欠損金の繰戻還付請求の手続き

欠損金の繰戻還付請求は確定申告書の手続きと一緒に行う。

具体的には...

実際には税理士が確定申告書と一緒に「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を作成する。

提出期限は確定申告書の提出時となる。

税理士に「欠損金の繰戻還付請求したい」と決算作業前までに伝えないと、税理士が処理できないので気をつけよう。

 

こちらの記事も参考に

税理士の選び方|あなたの依頼にマッチ!失敗しないための3つの方法

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法人税還付請求後の対策

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欠損金の繰戻還付請求後の対策を教えて!
税務調査の対策と会計処理をまとめるね!
Tetsu

繰戻還付請求後の税務調査の内容

欠損金の繰戻還付請求すると必ず税務調査が実施される。

税務調査が実施される根拠

税務調査が実施される根拠は、法人税法で調査すると規定があるからだ。

具体的には...

(欠損金の繰戻しによる還付)

第八十条

7 税務署長は、前項の還付請求書の提出があつた場合には、その請求の基礎となつた欠損金額その他必要な事項について調査し、その調査したところにより、その請求をした内国法人に対し、その請求に係る金額を限度として法人税を還付し、又は請求の理由がない旨を書面により通知する。

出典:e-Gov(電子政府の総合窓口)法人税法

法人税法第80条7項の規定どおりに必ず調査が実施されるが調査方法は明記されていない。

 

税務調査の実施方法

欠損金の繰戻還付請求後に想定される税務調査の方法は2つ考えられる。

具体的には...

訪問調査:会社に来て調査する手法

机上調査:署内で資料調査する手法

訪問調査と机上調査のどちらが多いのだろうか?

一般的に「欠損金の繰戻しによる還付請求」は、机上調査がほとんどだと言われている。

署内で申告内容を調査して問題がなければ還付し、申告内容で気になる点があるときは、電話などで簡単な質問を受ける場合が多いようだ。

訪問調査が100%来ない訳ではないので気をつけたい。

 

税務署の署内事情

税務署も忙しいので還付請求のためだけに訪問調査する人員を確保するのは難しい。

具体的には...

法人税法の規定により調査はするがそれは机上調査がほとんどであり、訪問調査は税務上指導が必要な法人に限られるだろう。

訪問調査のウワサに惑わされて「欠損金の繰戻還付請求」を諦めるのはもったいない。

資金繰りが厳しい会社であれば、やはり還付請求すべきだろう。

来るかもわからない税務調査におびえるよりも、手元現金が増えることの方が経営者として気持ちが楽になるはずだ。

 

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欠損金の繰戻還付請求後の会計処理

欠損金の繰戻還付請求後の一連の会計処理をまとめる。

欠損金の繰戻還付請求した事業年度

欠損金の繰戻還付請求をした際は決算仕訳が必要になる。

具体的には...

決算時

借方科目金額貸方科目金額
未収法人税等○○○円仮払法人税等〇〇〇円
雑収入〇〇〇円

勘定科目の解説は以下のとおり。

  • 未収法人税等:これから入金される還付金の総額
  • 仮払法人税等:中間納付した法人税
  • 雑収入:欠損金の繰戻還付請求した金額

雑収入は税金還付の取引になるので、消費税の課税区分は対象外(不課税)で処理する。

 

法人税の還付金が入金された事業年度

法人税の繰戻金が入金された際は入金処理の仕訳が必要になる。

具体的には...

還付金入金時

借方科目金額貸方科目金額
普通預金○○○円未収法人税等〇〇〇円
雑収入〇〇〇円

勘定科目の解説は以下のとおり。

  • 普通預金:入金された還付金
  • 未収法人税等:前期決算仕訳で計上した還付金の未収金額
  • 雑収入:還付加算金(国からの利息のようなもの)

実際は税務署から送付される「国税還付金振込通知書」の金額どおりに仕訳処理する。

雑収入は還付加算金の取引になるので、消費税の課税区分は対象外(不課税)で処理する。

 

法人税の還付のまとめ

法人税の還付は手元キャッシュを増やせる制度だ。

この制度は中小企業で期限内に青色申告する法人だけが利用可能。還付金により資金繰りが助かる制度なので、メリットとデメリットを再確認して導入判断してもらいたい。

税務調査のウワサに惑わされずに、あなたが必要だと判断したら迷わずに請求手続きしよう。

実際の欠損金の繰戻還付請求は税理士が手続きする。

欠損金の繰戻しによる還付請求書は確定申告書と一緒に提出。税理士が全ての手続きするので、決算前までに税理士と相談しておこう。

最後に税理士ドットコムであなたに合う税理士を探そう。

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