会社を設立する時に、定款を作ることは知ってますか?
定款とは、会社の様々なルールを定めた書類である。
そのルールの中でも、会社の決算日を決めることは極めて重要な作業です。


現在の上場企業では、3月を決算日とする企業が多い。
そのため、決算といえば3月という印象を持つのでしょう。
しかし、会社設立の際には、決算日を自由に決めることができる。
ちゃんと考えて決算日を決めないと、あとで大変なことになります。
特に創業1年目は、経理作業に慣れていない人も多い。
決算期と繁忙期が重なると十分な作業時間を取れないことも…。


起業に成功する社長は、会社の設立前からちゃんと決算日のことを考えている。
それは設立後の会社経営を有利な状態にしたいからです。
今回はこの理由を背景に、決算日を決めるために必要なことを整理した。
起業に成功する社長が熟知する決算日の決め方を具体的に紹介します。
目次
決算の時期は決めるポイントは?


繁忙期と閑散期を把握する
本業の繁忙期に決算するとデメリットがある。
それは、決算の対策に時間を取れないからです。
例えば、スーパーやデパートでは、2月・8月を決算期とする法人が多い。
この2月・8月をニッパチと呼び、この時期は比較的に暇な時期なのです。
スーパーやデパートは、決算で「たな卸」をしなくてはなりません。
そのために、比較的にモノの動きが少ないニッパチを選ぶ傾向が多いのです。
たな卸とは、とある時点の商品や製品の実地在庫数を調べて集計すること

他にも繁忙期と閑散期がある業界は多い。
繁忙期が過ぎて売上のメドが立ったところで、時間をかけて決算対策を考える。
それにより、節税や投資などの対策を練ることができます。
できるだけ事業年度の前半に繁忙期が来るように決算日を定めること

税務署の調査を考慮する
実は会社の決算日と税務署の調査には関係がある。
正しい決算日を選ぶことにより、税務調査のリスクを軽減できるかもしれません。


税務署の調査は秋に最盛期を迎える。
年明けから確定申告までの期間は調査件数は減少し春からまた増加していきます。
それでは、税務調査の時期と決算日はどのように関係するのか?
原則として税務署は、次の基準で税務調査の時期を決めています。
税務調査時期の決め方
2月から5月が決算日 | 秋の税務調査(7月から12月まで) |
6月から1月が決算日 | 春の税務調査(1月から6月まで) |
このように、決算日により税務調査の時期が異なるのです。
秋の税務調査は、国税調査官の人事査定に影響してくる。
したがって、税務調査が厳しくなる傾向があります。
それに比べて春の税務調査は、消化試合の意味合いが強い。
したがって、税務調査も優しくなる傾向があります。
春の方が税務調査のリスクが低いので、決算日は1月から6月の間に決めるのがオススメ

消費税の免税期間を利用する
設立1年目は、会計期間をできるだけ長く設定すると消費税の免税期間が長くなる。
つまり、設立日から決算日を最長に設定します。
例えば、4月1日に会社を設立した場合、最長の決算日は3月31日になる。


消費税免税の判定方法
設立1年目の判定方法 |
資本金が1,000万円未満 |
設立2年目の判定方法 | 資本金が1,000万円未満 |
設立日から6ヶ月間の売上高と支払給与のどちらかが1,000万円以下 | |
設立3年以降の判定方法 | 資本金が1,000万円未満 |
前々期の売上高が1,000万円以下 |
例えば、4月に会社を設立して7月を決算日とする。
この場合は、設立1年目は会計期間が3ヶ月しかない。
したがって、消費税の免税面でかなり損をします。
また、設立2年目も消費税が免税となる会社も多い。
設立1年目の決算を最長に設定した方が断然に有利である。
それは、1年目と2年目の通算で、2年間もの免税期間を得れるからです。

決算の時期の具体的な決め方は?


決算日の判定方法
決算日の判定方法の流れ
- 6月から1月の間で決算日を決めることで、税務調査が有利になりやすい
- 6月から1月の期間のうち、繁忙期に該当する月を決算日から外す
- 消費税の免税期間を考えて、最長となる決算日に決める


決算日判定の例題
飲食店の開業に伴い、会社を4月1日に設立する予定である。
事前に繁忙期を調べたら4月と12月が忙しいと判明した。 会社の決算日をいつにすべきか判定せよ。 |
考え方
- 税務調査の時期を踏まえたうえで、決算時期を6月から1月の間にした
- 繁忙期が4月と12月であるので、12月を決算候補日から外すことにする
- 消費税の免税期間を考えると、最長となる日は1月であると判明した
- したがって、1月31日を決算日とすることに決めた

会社設立後に決算日は変更できないの?


会社の設立後でも決算日を変えることができる。
株主総会を開催して「事業年度の変更」に関する定款変更の決議が必要となります。
必要な手続き
- 株主総会を開催して決議する
- 株主総会議事録を作成して署名捺印の後に保管する
- 株主総会議事録の内容に則って定款を改定し保管する
- 税務署と地方自治体に変更した旨の異動届を提出する

決算の時期を決める方法のまとめ


正しい決算日を選択することで、会社経営は有利な状態になる
そのためには、決算を決める方法を熟知する必要があります。
- 決算日を正しく選ぶことで、税務調査のデメリットを軽減できる
- 決算日を繁忙期からズラすことで、たな卸、節税、投資の面での時間的メリットを作れる
- 設立日から決算日を最長とすることで、消費税の免税期間が長くできるメリットを作れる
ポイントを理解し、正しく決算日を判定することで会社経営は有利となります。
起業に成功する社長は、決算日を決める方法を熟知している人ばかりである。
あなたも起業の成功を目指すのであれば、まずは決算日を考えてみましょう。
会社経営を有利にする術は、起業前から始まっているのです。
