現在の中小企業の「法人税率」をご存知ですか?
令和元年度では、中小企業の最低法人税率は15%である。
これは、800万円以下の所得金額に対して適用されます。
この中小企業に対する法人税の軽減税率は、時限的な特例制度になります。
今後の景気動向によっては、従前の税率に戻る可能性もある。
したがって、現在の軽減税率を上手に利用して、いかに賢く会社経営するか手腕が問われる。
- 浮いた税金で会社の財政状態を改善する
- 将来のために浮いた税金を内部留保に回す
- 浮いた税金を自社ビジネスの成長のために使う
他にも様々なアイディアがあるかもしれない。
いずれにせよ、賢く経営するには、まず、法人税の制度を正しく理解する必要がある。
今回は、中小企業の法人税について内容を整理した。
現行の法人税の仕組みを解説したいと思います。
法人税の改正と現在の税率
法人税改正の背景
平成19年から20年に世界の金融資本市場が混乱に陥った。
俗に言う「サムプライム危機」と「リーマンショック」です。
日本経済も景気下降が長期化かつ深刻化する恐れがあった。
そのような状況下で、日本政府は平成20年に「生活対策」を決定しました。
その対策に盛り込まれたのが「中小企業に対する軽減税率の時限的引下げ」である。
これを受けて中小企業等の法人税率の軽減措置は、平成21年度に税制改正されました。
その内容は、年間800万円以下の所得金額に対する税率の特例措置を設けることである。
平成21年度の軽減措置は、従前の22%から18%に軽減。
さらに平成23年度改正では18%から15%に引き下げ、これまで適用期限の延長を繰り返している。
令和元年度の法人税率
令和元年度の法人税率をまとめる。
中小法人の場合は年800万円の所得金額がポイントになり税率が変わります。
令和元年の法人税率表
対象 | 本則税率 | 租特税率 |
大法人 | 所得区分なし | 23.20% |
中小法人 | 年800万円を超えた所得部分 | 23.20% |
年800万円以下の所得部分 | 15% |
法人税の軽減税率が適用される会社と適用期間
中小企業は法人税の軽減税率が適用される
中小企業は法人税の軽減税率が適用される。
軽減税率が適用される中小企業は、どのような会社か?
中小企業の定義
- 資本金もしくは出資金の額が1億円以下の法人
- 資本金もしくは出資金を有しない法人のうち、常時使用する従業員が1,000人以下の法人
- 常時使用する従業員数が1,000人以下の個人
- 協同組合等(中小企業等経営強化法第2条第2項に規定する「中小企業者等」に該当するものに限る)
法人税の軽減税率から除外される中小企業
法人税率の特例から除外される中小企業は次のとおりである。
除外される中小企業
- 同一の大規模法人(資本金もしくは出資金の額が1億円超の法人、又は資本金もしくは出資金を有しない法人のうち、常時使用する従業員が1,000人超の法人)から2分の1以上出資を受けている法人。
- 2以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける法人は、たとえ資本金が1億円以下でも中小企業者とはならない。
令和元年度改正
令和元年度改正により、大法人(資本金もしくは出資金の額が5億円以上等の法人)の100%子法人、100%グループ内の複数の大法人に発行済株式数又は出資の全部を保有されている法人は大規模法人となる。
法人税の軽減税率の適用期限はいつまで?
中小企業に対する法人税の軽減税率の特例はいつもで続くのか?
令和元年度改正で「適用期限を令和3年(2021年)3月31日まで」の2年間延長となった。
法人税の軽減税率の特例が延長した背景には理由があります。
延長した背景と理由
- 世界経済の不確実性
- 人手不足、労働生産性の伸び悩み
- 後継者難など
先行きに不透明感を抱える中小企業の経営基盤を強化するための延長である。
したがって、この軽減税率の特例制度を賢く経営に活かすことが急務なのです。
法人税等の実効税率を知って賢く経営しましょう
中小企業の法人税等の実効税率を見てみよう
現在の法人税等の実効税率は、中小企業にとってかなり優遇されている。
それは前述どおり、法人税の軽減税率の特例制度があるからです。
中小企業の法人税実効税率
所得金額 | 法人税率 | 地方税率 | 法人税等の実効税率 |
---|---|---|---|
400万円未満 | 15% | 7.47% | 21.40% |
400万円~800万円 | 15% | 9.90% | 23.20% |
800万円を超える | 23.20% | 13.60% | 33.60% |
※法人税等の実行税率には税効果が加味されています。
※この税額表は、2018年4月以降から適用されている概算値です。
法人税の軽減税率を利用して賢く経営する
法人税等の実効税率を見て、あなたはこの税率を高いと思いますか?
所得金額が800万円であれば、8割弱を手元に残せる税率である。
中小企業にとっては、かなり好待遇の税率だと考えます。
この好待遇の税率を利用して、今のうちに財務基盤の強化をお勧めしたい。
特に法人税対策のために、意図的な節税対策をして赤字経営している会社は、この機会に黒字化するのもアリだと考えます。
やはり、会社に内部留保がない状態は、経営を不安定な状態にする。
法人税の特例制度の継続性を考えると、今がチャンスではないかと考えます。
法人税率の特例制度のまとめ
中小企業の法人税率の特例制度は、令和3年3月で適用期間が終わる予定です。
注目したいのが、適用期間の終了が東京オリンピックの翌春であること。
これをどう考えるかは、経営者によって判断が分かれるかもしれない。
私は令和3年3月で適用期間の延長は終了するのではと考えてます。
したがって、今のうちに財務体質の強化が大切だと言える。
法人税等の実効税率を見ても分かるとおりに、中小企業は好待遇の税制になっている。
消費型節税対策を行っている会社は、内部留保に切り替える転機かもしれません。
きっちり、損益の予算管理をすることで、利益(所得金額)をコントロールする。
そのことで、法人税の軽減税率の特例制度を有効活用できます。
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